2015年09月11日

集中豪雨で鬼怒川堤防決壊、繰り返される巨大災害



再三再四言われる「50年に一度の記録的な豪雨」や「こんなことは初めて」などは、ただ単に過去に無関心なだけだった─────。

鬼怒川は急流河川であり、これまでも大洪水による被害をもたらして来た。
昭和24年(1949年)8月のキティー台風による豪雨、昭和57年(1982年)9月の秋雨前線豪雨、平成14年(2002年)7月の台風6号による集中豪雨と堤防が決壊し、大洪水が発生した。
更に直ぐ横を流れる小貝川は、鬼怒川以上に頻繁に堤防が決壊し、戦後だけでも7回。近年では平成11年(1999年)、平成14年(2002年)、平成16年(2004年)に大洪水が発生。今回のように周辺市町村が濁流に襲われ、水浸しになっている。


下流の堤防は、堤防とは名ばかりの単なる土手。地形図を見ても、下流域で有りながら洪水・氾濫を防ぐ河川敷が非常に狭い。一級河川なら通常の川幅の4倍以上の河川敷が必要で、その周囲に堤防が造られるはずが、堤防(土手)の高さも幅も全く役に立たない程小さい。

そもそも関東平野は利根川が逆流する事もあるほど真っ平らで、一度氾濫するとなかなか水が引かない。
では何故、上流で水量を調節出来なかったのか?
鬼怒川上流に降った豪雨水を食い止める事は出来なかったのか?

これ程までに幾度となく大洪水に見舞われていながら、上流に中規模以上のダムが無い。上流に降った豪雨は、そのまま下流へと流れ下るのだ。

では何故、治水ダムを造らないのか?
残念ながら度々堤防が決壊している鬼怒川と小貝川の上流は栃木県に属する為、茨城県で洪水被害が頻発しても、茨城県単独でダムを建設する事が出来ない。ダムを造るには栃木県の同意が必要であり、費用や住居移転など・・・何故、下流の茨城県の為に栃木県民が立ち退きをしてまでダムを造るのか!? という不満が出る。
下流域の住民を救う事が、最終的には治水として自分たちにも恩恵をもたらすとは、誰も考えない。
だから戦後70年も経つのに、治水ダム設置は放棄されて来た。

例え、国が河川整備を地味に続けたとしても、上流のダムに勝る物は何も無い!


集中豪雨は年々予想を遙かに超えて、日本列島に襲い掛かっているように思われるが、もし鬼怒川流域や小貝川流域に昔から住んでいる人は、過去の洪水被害を経験しているはがだが・・・。



三陸の人々が、明治三陸津波・チリ地震津波・昭和三陸地震津波と、3回の津波を経験しているはずなのに、それでも忘れ、巨大な堤防に安心してしまい、結局、巨大津波にのみ込まれてしまった───。
何故、過去の教訓は生かされなかったのか?
先人の忠告に誠実だった僅かな人々は、高台に家を建て、津波から助かった。間髪を置かず逃げた人も助かった。しかし伝承を知らない人や、転居して来た若い人等は車で逃げられると思った。しかし仙台平野を津波は物凄い早さで襲来して来た───。

今回の鬼怒川決壊の被害は、何故防げなかったのか? どうしてこんなにも住民は取り残されたのか・・・。彼らは過去の度重なる大洪水常習地帯だと言う事を知らなかったのだろうか?
住宅地は川の直ぐそばに建っていて、地面を嵩上げしている宅地は殆ど無い。過去に再三再四、氾濫を繰り返している鬼怒川と小貝川があるのに、何故無防備になってしまったのか?

平坦な土地ほど、住みやすいもの。

誰も過去の災禍など気にする事もなく、また知ろうともせず、ただ漫然と住みやすい場所に家を建てたのだろう・・・。

しかしこの大水害は今回で終わりではない。

上流に豪雨が降れば、また再び補強していない堤防が決壊するかもしれない。弱い場所、弱い土手を狙って濁流は再び猛威をふるう事になる──────。






posted by かえぴょん at 18:22| Comment(0) | 自然災害で滅びゆく沿岸大都市 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月28日

【広島土砂崩れ災害】軽率だった山切り開いた宅地開発

約80人もの死者・行方不明者を出した広島市の大規模土砂災害。既に原因や被害状況などを検証することで、今後の都市計画に提言しようと、日本土木学会と日本地盤工学会に所属する研究者が、災害が起きた翌日から現地調査を始めている。

広島土砂災害傾斜地.jpg

広島市安佐南区の土砂崩れが起きた宅地は、斜面に造成された新興住宅街で、その斜面の斜度は約13〜15度。スキー場で言うとファミリーゲレンデや初級者向けの斜度に当たる。通常であればスキー場の斜面程度では、大雨が降ってもゲレンデが地滑りや土砂崩壊する事はない。

専門家によればこの周辺独特の地質=真砂土の崩壊だと言う。
全体が花崗岩などが風化した真砂土なら、もっと早く斜面崩壊が起こっていただろうが、突然、大規模に崩壊したのは真砂土ではなく、巨岩の塊だったようだ。砂状泥流に乗って巨岩が滑るように住宅地に押し寄せた為、今回のように住宅もろとも押し潰されてしまったのだ。
広島土砂災害巨岩.jpg

広島土砂災害巨岩石.jpg

もっともこの斜面に宅地造成が始まった時、巨岩が多数存在している事は確認されていたはずだ。それなのに何故対策が講じられなかったのか? 何故そのまま住宅が建設されたのか? 

大地震のように何の前触れもなく襲う自然災害と違い、台風や豪雨、津波や土砂崩れや河川の氾濫による洪水は、事前の予測が可能である。
今回の土砂災害を自治体や気象庁だけに押しつけるのは、余りにも傲慢だ。
何故なら広島市安佐南区は、中山間地でもなければ限界集落でもなく、過疎の町や村でもない。

広島市は平坦な土地が少ない・・・と言う報道での声を聞くが、全国20の政令指定都市の中で面積は、浜松市、静岡市、札幌市に次いで全国4位の905平方キロメートル。人口も1,185,097人で全国10位と決して多い方ではない。
それなのに何故斜面を中途半端に造成し、巨岩を放置し、沢沿いに宅地を建て、住宅地の道路があれ程狭いのか?

土砂災害が発生した斜面の道路幅では、大型ダンプのすれ違いは無理だし、車道が狭くて捜索活動が人海戦術になる事は明々白々である。
広島土砂災害濁流狭斜面道路.jpg

広島土砂災害濁流狭道路.jpg


これが豪雪地帯なら、除雪車が入れないような車道幅(下水側溝含む)は許可が下りない。
新しい住宅地にも関わらず、大型重機が通れなければ、ブルドーザーもグレーダーも使えず、ダンプトラックさえUターンが困難で、まだまだ下斜面の方の土砂がそのまま放置されている。

広島土砂災害1階兄弟jpg.JPG更に被害を大きくしたのは、建物は建っているのに、1階部分に土砂が流れ込み幼い兄弟が亡くなった事。
これは西日本では当たり前の事なのか?

北の豪雪地帯では子供が1階で就寝するというのはあり得ない事。2階建てなら総2階建てでも、一部2階建てでも子供は2階に寝るのが当たり前。

それに玄関が雪に埋もれないよう、地面から50〜100センチメートルは基礎を上げ、その上に玄関を乗せる。よく都会の高級住宅地で見かける階段のある豪邸のような形にしないと、除雪が出来ないし、大雨での浸水も防げる。
積雪地雪害対策用高床式住宅.jpg
1階部分をコンクリートにして高床式にした積雪地帯の木造住宅。
車庫になっているが、木造の柱や板張り工法より丈夫。



 広島では平成16年(2004年)9月7日、台風第18号による暴風と高潮で国宝・厳島神社の左楽房が倒壊。広島市では死者はなかったものの台風第18号では全国で、死者・行方不明45人、負傷者1324人になった。
2004年台風18号.jpg

平成16年(2004年)は台風と豪雨の当たり年で、6月18日には台風第6号が上陸、7月には新潟・福島豪雨、福井豪雨、7月28日台風第10号上陸、8月16日台風第15号、8月22日台風第17号、8月26日台風第16号(遅回り台風)、9月4日台風第18号、9月24日台風第21号、10月7日台風第22号、10月17日台風第23号と立て続けに襲来! 
台風第23号では死者・行方不明99人と言う大災害になり、この年の台風と豪雨による死者・行方不明者は263名に達した・・・。

台風に備えるには重い瓦屋根がいいと言うのが、この地方の習慣なのだろう。
しかし今回の集中豪雨ではこの重い屋根瓦が、逆に重荷になった。
急流な土石流に1階の足元(柱と壁)をすくわれ、柱が傾いた為、銅板屋根なら倒れなかったであろう住宅が、逆に屋根瓦の重みによって重心を崩し、倒壊する結果となった。

これまでは重い瓦屋根が代々、台風から家や生命を守って来てくれたのは事実だ。
しかし土砂災害には無抵抗だった・・・。

壁工法による近年の耐震構造では、壁が突き破られれば、柱の数が少ないためアッと言う間に倒壊に至る。
従来のような柱と筋交いなど柱の数が多ければ多いほど、横からの衝撃に強い。広島市は瀬戸内海に面し、大地震の経験もなく、津波の被害もなく、雪も降らない。もしこの地を自然災害が襲うとすれば台風と長雨による河川の増水と氾濫・・・ぐらいに考えていたのかもしれない。


広島市の平均年収は501万円。仙台市や千葉市、北九州市や熊本市より潤沢である。
それなのに何故、わざわざ斜面の裾野に宅地を造成し、何の土砂防御もしないまま住宅は建てられたのか?
個人でも宅地の盛り土や柱の補強、筋交いの追加は可能だし、まして子供を1階に就寝させるという事を、2階建ての家でする事など考えられない。

また既にこの住宅地は建て売りだったとの話もあるが、それなら住宅メーカーにも大きな責任がある。
勿論、あらゆる自然災害を想定する事は困難だし、強固な家になればなる程、価格も高騰する。・・・しかし雪国では敢えてそういう住宅にする事を迫られる。
地震・台風・豪雪・地吹雪・梅雨・秋雨前線・集中豪雨・雪崩・極寒と真夏日など、日本列島に直面する全ての災害に備える事が必須でもある。
その上で安心な暮らしが担保される。むしろそこまでしなければ、家を失いかねないと言う危機感がある。

豪雪自衛隊救助.jpg

ここ数年、雪の降らない地域に大雪が降り、車が大渋滞。車の中に閉じ込められ、自衛隊が除雪に出動するという事態が頻発している。東京都心でも雪が降り積もったが、これらに共通しているのは除雪車が1台も無いという事。
雪は降らないだろうと言う過信と思い込み。まさか国道で雪に閉じ込められないだろうと言う固定観念。

今回も、15年前に土砂災害があっにも関わらず、自分の所では起こらないと言う偏った先入観が、深刻な被害に結びついた。
災害は見たり聞いたりしても結局は無駄になる。例え近くで災害が起きても、それを教訓にする人と、自分には関係ないと記憶から消してしまう人。
平坦な土地が日本には少ないと言うのは、大都市に住む学者の言う事だが、実はそんな事は全くない。

硬い岩盤の土地、川も沢もなく、海からも遠く、崖も無ければ急傾斜地でもなく、見渡す限りの丘陵地や盆地が続く・・・そんな安心して住める土地は日本にはたくさんあるのだ。
だが現代の日本人は安全な土地より、便利で物に溢れた便利な都市を好むだけの事。

そして我は被害者のごとくと自治体を恨み、報道も警報の遅れだけを非難する。
そこに暮らす人たちは、自らの生命や家族の生命・財産を守るため、一体どれ程の苦労をして来たのか?
どれ程災害を想定し、それに備えた家を建てて来たのか?


自然災害伊豆大島救助.jpg

自然災害に対する安全防護は、他人任せであってはならない。可能な限りの潜在的な脅威から保護・防御する責務は、自分自身で備えなくてはならない。
そのためには過去の災害、教訓を決して疎かにしてはならないのだ。

先人たちが残した痕跡には、必ず子孫への警鐘が込められている。
2度ある事は3度ある!
また直ぐ次の土砂崩れが起こるだろう・・・それまで残された時間は少ないかもしれない。
それでも遅くはない、大規模土砂災害に備えよ!




posted by かえぴょん at 17:12| Comment(0) | 自然災害で滅びゆく沿岸大都市 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする